【うみまち仕掛人vol.18】 伊藤義雄さん

2019年10月から始まった、ぽかぽかインタビューの「うみまち仕掛人」シリーズ。

蘇我・千葉みなとの今にクローズアップして、うみまちを盛り上げる活動に取り組んでいる“仕掛人”を取材しています。


<千葉中央郵便局 局長 伊藤義雄さん>

第18回でご紹介するのは、千葉中央郵便局で局長をされている伊藤義雄さんです。

△伊藤さんのお写真

伊藤さんはうみまち仕掛人vol.17でインタビューをした千葉県立美術館の副館長をなさっている中松さんからご紹介いただきました。

中松さんのインタビュー記事はこちらからご覧下さい。

伊藤さんが局長を務めていらっしゃる千葉中央郵便局は千葉ポートパークの隣に位置している郵便局です。また、地域内の郵便物を集約し他の地域への郵便物を取りまとめている、千葉県内に2つしかない地域区分局の1つでもあります。

それではお話を伺っていきたいと思います。


<千葉みなととの出会い>

―伊藤さんと千葉みなととの出会いや当時の印象についてお聞かせください―

「もともとは千葉県生まれで、高校を卒業してからですから今から42年前になりますか、昭和56年の時にこの千葉中央郵便局に配達業務で採用になったのが始まりになります。実家は銚子の左の方の今は旭市になりましたがそこの飯岡というところで田舎でしたから、千葉市へ来たときは都会だなあという当時の印象がありますね。」

―採用時からずっと千葉中央郵便局でお仕事をなさっているのですか?―

「ずっとではないですね。配達業務で15、6年勤務して、そこから内務の事務職へ。その後何局か転勤でまわりまして、今年の4月にこの千葉中央郵便局に戻ってきた形になります。 千葉県を回って、全国に13支社あるうちの関東支社を7年ほど経験しましたね。実は今年の3月まで埼玉にいまして、さいたま新都心郵便局というところを2年経験したのですが、そこは年賀郵便物元旦配達物数が全国1位だったということもありました。採用になったところに戻ってくることはなかなか難しいことですが、何か縁があって、お陰様で地元近くの郵便局に戻ってこられたというところですね。」

自分も大学で群馬から千葉市に引っ越してきたのですが、田舎から出てきた身としては千葉市がとても都会に感じられました。

△千葉中央郵便局

<千葉みなとの魅力・変化>

―伊藤さんが思う千葉みなとの魅力とは何でしょうか?―

「大型の商業施設があったり、公園等も整備され、人が集い憩える環境があることですね。最近では様々なイベントも開催されていて、活気や賑わいを見せていると思います。ただ、地域住民の憩いの場としてだけでなく、色々なお客さまが観光スポットということで来ていただけないと町が活性化していかないので、そういった観光スポットとしての魅力が広まっていけばより良いと思います。」

―千葉みなとの町の変化について、当時と現在を比べてどのように感じますかー

「1986年にポートタワーができましたし、とにかくマンションが増えました。当時はポートタワーもマンションもなかったので随分と変わったと思います。特に駅前の発展が著しいですね。商業施設も増えてきていますし、千葉ポートパークなどの公園や旅客船ターミナル等複合施設のケーズハーバーができるなどして、以前より港湾事業地というイメージが大きく変わってきていると思います。」

―この変化はプラスに思いますか?―

「マンション等が増えて人口が増えるということはとても良いことだと思います。居住者が増えて若い世代が増えることに繋がりますから。また、人口が増えるというのは郵便物を利用するお客さまも増えるので、郵便局にとってもプラスに働くことが多いですね。ただ、なんでもスマホで済む時代ですから、若い世代の郵便離れが進んでいて、郵便の量は全国的に減少傾向という問題があります。地域としてはすごく発展していますので、この変化を生かしてそこのところを復活させていければと思っています。」

確かに若い世代が郵便局を利用するイメージってあまりないですよね。ただ人口が増えれば良いという訳ではなく、郵便を利用してもらえるよう努力なさっているのが伝わってきました。

△千葉みなと周辺の航空写真比較(1979年)
△(2022年)

<郵便局でのお仕事と地域との関わり>

―郵便局ではどのようなお仕事をなさっているのでしょうか―

「全国に約2万4千の郵便局と3万2千台のATM、18万本のポストがありますが、この全国どこにでもあるという素晴らしいネットワークを生かして、郵便、貯金、保険等のユニバーサルサービスを提供しています。最近では自動運転車など、新技術を活用したドローンや無人配達ロボットによる配達の実験も行っていますね。他にも、千葉市と包括連携協定を結んでいて、配達業務の際に、道路損傷や標識が曲がっている、あるいは不法投棄など、日ごろ地域の方々が気づいてはいてもそのまま放置してしまっている危険性が伴うことを市に報告し、安全面の改善を行ってもいます。」

―お仕事で心がけていること、やりがいを感じることはありますか?―

「どんな時も『お客さま第一』の心を持って行動することを心がけています。お客さまからお預かりした荷物や郵便物を『配達』するのではなく、『お届け』する。というのも郵便物にはお客さまの色々な想いがこもっていますから、郵便物と一緒にその想いもお預かりする。そういった想いできちんとお届けすることが一番大事だと考えています。また、お客さまに郵便物と一緒に想いもお届けする中で、『ありがとう』などの感謝の言葉をいただけたときが特にやりがいを感じる瞬間です。」

―お仕事の中で地域とはどのような関わりがありますか?―

「地域のニーズにあったサービスを安全、確実、迅速に提供し人々の生活を生涯にわたって支援することで、触れ合いあふれる豊かな暮らしの実現に貢献することが経営理念です。日本郵政グループの経営方針の中にも社会と地域の人々、みんながお互い協力し、社員一人ひとりが成長できる機会を創出するとあります。その意味で先ほどの千葉市との包括連携協定だけでなく、地域に密着することは大切ですから、郵便局だけという固定観念にとらわれるのではなく、地域のイベントなどにはできる限り参加し、何か郵便局としてできることをする。千葉県全体で盛り上げていく。そういった中で地域の皆さんにとって身近な存在になれるように取り組んでいます。」

―過去にはどのようなイベントや活動がありましたか?―

「全国2位の花卉産出額である千葉県を盛り上げるため、県と協力し地域の皆さんを元気にしたいという思いで、県内の郵便局の窓口などに千葉県産の花を飾るなどの『花いっぱいプロジェクト』という取り組みを実施しました。他にも、千葉県では2019年に台風、大雨被害がありましたが、災害時に郵便局の機動力やネットワークは非常に重要になってきます。全国から送られてくる支援物資を地域の人々に確実にお届けすることも重要になってきますし、災害時においても配達業務は可能な限り行いますから、すぐに業務を再開し、配達を通して通信手段がない方の確認や地域の広報を窓口に置いたりなど、災害時に地域の人々の手助けになるような取り組みはすぐに行いましたね。」

なるほど。配達業務が地域の環境美化や災害時において重要な役割を果たしているというのは今まで考えたことがなかったですが、郵便局が地域の人々のために様々なことをしてくださっているということがわかりました。特に、郵便物と一緒に想いもお届けするというのは素敵なことですよね。

△「花いっぱいプロジェクト」の様子

<コロナ禍での取り組み>

―コロナ以前と以後で大きく変わったことは何でしょうか?―

「最初の時はコロナ禍で皆さんが通販で食料や飲料を注文することが多くなったので荷物の量が増えましたね。ところが一昨年それが終わってしまってぐっと下がりましたね。他にも工業製品や部品の輸入等も緊急事態宣言などで物流が止まってしまい、郵便物の減少につながっていると思います。」

―コロナ禍での取り組みはありますか?―

「この千葉中央郵便局は地域区分局ですから、千葉県はもちろん全国に郵便物が運ばれていく重要な拠点になります。コロナで私たちの業務が止まってしまうと多くの人々に郵便物が届かないという事態が発生してしまうので、物流を止めてはいけないという責任感を常に持ちながら、新型コロナの感染対策を行っています。特に、入口で検温器による検温の徹底やマスク着用、手洗いや消毒等の基本的な感染対策はもちろんのこと、週2回電動噴霧器による定期消毒を全フロアで実施し、換気も行って空気感染の対策を行っています。」

伊藤さんは「感染対策でできることはする。」というお考えのもと、電動噴霧器の購入を決められたそうですが、これは他の局では行っていないことで、感染対策に対する意識の高さが感じられました。


最後に、伊藤さんから、ポートタワーと千葉中央郵便局を縦にしたときどちらが高いかというクイズが!実は千葉中央郵便局が120mでポートタワーが137mということでさすがにポートタワーの方が高いのですが、あまりの大きさに驚いてしまいました。ポートタワーはできた当時は東洋一といわれていたそうです。

△ポートタワーから見た千葉中央郵便局と外観
△正面から見た千葉中央郵便局

伊藤さんへのインタビューを通して、郵便局が地域の人々にとってどれだけ重要な役割を持っているのか、地域の人々に荷物をお届けする想いの大切さなど様々なことをお聞きすることができました。伊藤さんのお客さまを第一に考え行動する姿勢を見て心打たれるものがありました。

この記事を読んでくださる方にも郵便局の大切さ、伊藤さんの想いを感じ取っていただければと思います。

伊藤さん、お忙しい中インタビューを受けてくださってありがとうございました。

取材:宮海璃(NPO法人Drops) 撮影:志村咲菜子(NPO法人Drops)