【うみまち仕掛人vol.13 】松本 博樹さん
2019年10月から始まった、うみまち仕掛人シリーズ。
蘇我・千葉みなとの今にクローズアップして、うみまちを盛り上げる活動に取り組んでいる“仕掛人”を取材しています。
- 千葉市観光協会、松本博樹さん
第13回となる今回は、千葉市観光協会で事務局長を務めていらっしゃる、松本博樹さんに取材させていただきました。
▲松本さんのお写真
松本さんは、前回取材したオークラ千葉ホテルの阿保さんからご紹介いただきました。
(阿保さんの取材の様子はこちらからご覧ください。
今回のテーマは『観光』!
千葉みなとの観光資源とは?どんなお仕事?これからの観光とは…!?
案外知らない観光のお話、たくさん聞かせてもらうべく、
いざ取材へ…
▲取材の様子
- 千葉みなとエリアとの出会いと魅力について
Q1−ⅰ.千葉みなととの出会いは?
今の仕事に就く前までは、民間の旅行会社に勤めていました。千葉市へ移り住んだのは今から20年ほど前ですが、千葉みなとと深く関わり始めたのは観光協会に勤め始めてからになります。
Q1−ⅱ. 千葉みなとへの印象はどうですか?
海辺の美しい風景や観光船、ダイビング体験、素敵なカフェやレストラン、ホテルや結婚式場など魅力的なコンテンツがたくさんあり、千葉市に住んではいたものの、知らないことがたくさんあるなと実感しました。一方で、それらの魅力は周辺地域の方にまだまだ知られていないと思うので、千葉みなとの魅力をどんどん発信していけたらと思います。
観光における千葉みなとのポテンシャルの高さが伺えますね…。そんな中、地域の魅力をどう活かすのか??観光協会でのお仕事について伺っていきましょう。
- 「観光」という仕事について
Q2−ⅰ.観光協会ってどんな会社ですか?
千葉市観光協会は公益社団法人という形態をとっていて、宿泊、観光施設、交通、飲食といった業種だけでなく、農業、製造業、通信、金融など多岐にわたる業種の会員様によって成り立っています。これをみても観光の裾野が広いことがわかりますね。これらの企業は観光におけるポテンシャルを持っているものの、横のつながりが少なく、観光協会が異業種の橋渡しのような役割を担うことで新しい事業やイベントなどエリア全体の盛り上がりを創っていければと考えています。
Q2−ⅱ.イベントはどのような経緯で開催されますか?
「昨年11月に開催された『3☓3 HARBORS GAME』というイベントは、ケーズハーバーの綺麗な広場に人の流れを作りたいという思いから、当協会の職員が、催者である(株)HANDOFFさんと千葉市さんの橋渡しをしたことがきっかけとなり、新たな賑わいが生まれました。このイベントにはプロバスケットボールチームのアルティーリ千葉さんにも参加していただき、フリースローチャレンジが行われたほか、屋台やクルーズ船の運行などたくさんの要素を含んだイベントになりました。」
▲『3☓3 HARBORS GAME』の様子
キーワードは“異業種のつながり”!ちょっとした繋がりをきっかけに、地域を巻き込むイベントへと幅が広がったのですね。このイベントは来年度も開催予定です!
Q2−ⅲ.広く、千葉市の観光について“異業種のつながり”の重要さを教えてください。
各地で行われているイベントは、周辺に住む方へはよく知られていると思いますが、千葉市全体という範囲ではまだまだといった印象です。様々な業種の連携によってつながりを広げていくことで、もっと身近に魅力を感じてもらえるきっかけを増やしていければと思います。
―特に注目している業種はなんですか?
千葉市の観光は、主に3つのエリアがあります。
一つ目は、幕張~蘇我の“海辺エリア”。二つ目は、千葉駅周辺の歴史や文化が残っている“都心部エリア”、三つめは、若葉区・緑区の自然が残る“里山エリア“です。千葉市には豊かな自然環境だけでなく、そこで体験し、楽しむことのできる“農”があります。昨年の3月と5月に開催された『千葉のいいもの販売会』は千葉市の農家さんと連携して体験コーナーやお店を開くことで、千葉の“農”を楽しむことのできる場を作ることができました。これも当協会の職員が橋渡しをしたことがきっかけで生まれたイベントで、事業者の皆様や千葉市の皆様を中心としてどんどん拡大しています。
▲『千葉のいいもの販売会』の様子
―連携した農家さんからは何か反響がありましたか?
農作物は鮮度が大事なので、このようなイベントを通じて、採れたての美味しさを感じてもらう機会ができてよかったと言って頂いています。
農家の方が個別に生産から販売まで行うことは大変なので、千葉市さんと連携して、魅力を伝えていければと考えています。
各地に点在する魅力を個々に発信するのではなく、相互に連携しながら発信・展開していくことで観光におけるネットワークを拡大させていく。それが地域全体の魅力発信につながるのですね。業界の横のつながりをつくる橋渡し役という松本さんの考えがよくわかりました!
- 移りゆく『観光』のあり方
新型コロナウイルス感染症が流行している中で、観光協会の総会にてこのような話があったそうです。
「コロナ禍によって、10年先の未来が一気に今きた。」(J T B田川相談役)
コロナ禍を通じて、社会のあり方や価値観が変化していく中で、
観光業にはどのような影響があったのでしょうか。お話を伺っていきます…!
Q3−ⅰ.新型コロナウイルスの流行による影響はどうでしたか?
「新型コロナウイルスの流行による打撃は深刻で、観光業にとって“人が動いてはいけない”という状況は本当にどうしようもないものでした。しかし、産業経済を止めるわけにはいかないため、復興に向けた対策を早急に行わなければなりませんでした。」
―どのような対策を行ったのでしょうか?
千葉県の事業を活用して千葉市内の宿泊施設を利用した方に市内の飲食店や土産店で利用できるお得なクーポンを販売する「ちばおもてなしキャンペーン」を2020年9月から実施しました。参画するお店には地産地消を心がけていただくことで、地域全体の経済復興へ向けた良いサイクルを見出していくことも狙いとしました。
(おもてなしキャンペーンのバナー画像)
自粛が進む中で、人々の士気も下がっているので、感染症対策に配慮しながらも、地域を盛り上げていきたいですね。
―取り組みの中で何か発見はありましたか?
「今回の復興対策の中で興味深いデータを得ることができました。これま
では、宿泊施設に泊まっているお客さんがどこにご飯を食べにいくことが多いのか把握できていませんでしたが、クーポン券の利用を通じてこれらの情報を共有することができました。このように、業種の連携を行う中で思わぬところで発見が広がるのではないかと感じました。」
コロナ禍では悪いところに目が行きがちですが、このような良い発見を次に繋げていきたいですね!最後に、松本さんの思うこれからの「観光」についてお聞きしていきましょう。
Q3−ⅱ.観光業は今後どう変化していくと思いますか?
これまでは、観光というと団体のお客さんがバスに乗って決まったコースを巡るような形が多かったと思いますが、これからは、好きな時に好きな場所へ自由に行くといった形が増えていくと思います。世の中の人々の価値観やライフスタイルの変化に伴って観光のカタチも変化してくると思います。このような変化に対応して、地域全体でお客様に満足してもらえるような観光を形作っていくことができたらなと思います。
観光に対する認識や考え方が変わる中で“観光”という概念も移り変わっていくのですね。ここ数年、特にそれらの変化が大きい中で、松本さんのまちづくりは続きます…。
松本さん、お忙しい中取材へのご協力ありがとうございました。
(取材/増木宏行 撮影/太田黒澪)