前回のPart1に引き続き、『うみまち仕掛け人Vol.9』のPart2です!
Part1をご覧になっていない方はこちらからどうぞ!
Part2では、千葉放送局の今後の展望や、梶原さん自身についてもご紹介します!
それではインタビューの続きをどうぞ!
Q.あらためて、梶原さんのこれまでの経歴を教えてください。
「私はもともと、物作りが好きなんです。番組を作る、ということに憧れてディレクターとしてNHKに入局し、主にこども向けの教育番組を作ってきました。恐竜の女の子を主人公とした、人形劇の『ざわざわ森のがんこちゃん』という番組を開発したのですが、それが自分にとって大切な経験になっています。その後、編成の仕事や、経営企画の仕事なども担当しました。千葉に来る直前は、大阪放送局で編成の仕事をしていました。」
―なんと!がんこちゃん!筆者も小さい頃によく見たものです。製作風景などについても詳しくお聞きしたいところですが…
Q. 番組制作や編成などの経験は、今回のまちづくりに生かされましたか?
「そうですねえ。番組は一人では作れません。多くの方々、多くの要素が関わって作られていきます。大変おおざっぱですが、私はディレクターの経験が長い中で、ディレクターの仕事には、様々な方々からお力をいただく、使える資源を最大限生かす、ということの繰り返しという側面があると感じています。“花壇”は“番組”ではありませんが、関わって下さる方々を探し当てて、敷地という資源を生かす、という点では近いでしょうか?ディレクターの仕事だけが特別なのでなく、仕事はすべてそういうものかもしれません。経営企画や編成の仕事も通じるものがあるかもしれないですね。それから、“花の放送局”のガーデンの取り組みを、まちづくりととらえていただき、大変光栄です。まちの景観や、くつろいでいただける場の提供、人と人との交流などに、更に貢献していけたら嬉しいです。」
Q.今後の展望についてお聞かせください。
「コロナ禍によって、大勢の人が一斉に作業をするということは避けなければいけませんが、そのような状況の中でも時間を区切って少人数で行うなどといった工夫をすることで、ガーデンを通じた地域との繋がりを絶やさずにいきたいと思っています。」
▲ガーデンの手入れをするボランティアさん達
―このような事態だからこそ地域の中で繋がりというのはよりいっそう大事なのではないかと思います。
「そうですね、地域ともっと繋がりを深めたいです。最近は、ガーデンだけでなく、社屋も一緒に“花の放送局”にするためにはどうしたらいいだろうかと考えています。一般の方がお入りになれるハートプラザ(1階ロビー)は、ガーデンに向かってガラス張りの構造ですが、暗幕が張られて中が見えにくいなど、ガラス張りの魅力が生かされていませんでした。そこでまず、暗幕は外しました。今後、屋外のガーデンと屋内のハートプラザをガラスでシームレスにつなぎ、広い空間すべてが公園のように感じられる、立ち寄りたくなる空間に進化させたいと思います。デザインを学んでいる地域の大学生のみなさんにも協力してもらい、検討しているところです。」
▲社屋からも明るいガーデンが見えるように!
―ガーデンと合わせて、社屋の中でも花の放送局を楽しめる空間って魅力的ですね!どのような空間ができあがるのか楽しみです。
Q.最後に一言お願いします。
「私たちは、これからは益々、地域の方々との連携が大切だと考えています。“単独ではできないことが沢山ありますし、単独でやらないほうが地域に根付くいいものになる”とも思っています。ガーデンも、地域の方々と一緒に作ることで、地域のマインドが反映され、千葉のこの場所にふさわしい、よりよい景観になっていくように思います。この考え方は、地域課題の解決や、地域の防災減災の推進についても言えることだと思います。園児ちゃん達との繋がりからも、私たちが想像しなかったような素敵なことがあるので、今後もこういった地域の方々との繋がりを大事にしていきたいと思います。」
―思いがけず素敵な話があったそうです。種まきに参加して、お散歩のときに水やりをしてくれる園児ちゃん達が菜の花の観察絵日記を描いて、それをNHKに届けてくれたそうなのです。受け取った担当の人は思わず泣いてしまったとのこと。
▲園児ちゃん達の観察絵日記
梶原さんの話にもあった「単独でやらないほうが、地域に根付くいいものになる」という考え方にとても感銘を受けました。私もまちづくりに携わるものとしてこの言葉を心に留めておこうと強く思いました。
梶原さん、お忙しい中取材へのご協力ありがとうございました。
今後のガーデン並びに“花の放送局”も楽しみにしております。
取材:増木宏行
撮影:下崎まゆ莉